羽生結弦という青年 その１ 2014.11.09
羽生結弦という青年は１９歳のプロ・フィギュアスケーターである。
すでに、ソチオリンピックのチャンピオンであり、
その整った外見も相まって、女性中心に絶大な人気を集めている。
その羽生選手は、先日のフィギュアスケートのグランプリシリーズに出場したが、
試合直前の練習で中国選手と激突し、かなりの怪我を負った。
関係者は試合放棄を勧めたが、彼はそれを押し切る形で出場した。
多くの転倒を繰り返しながらも、最後まで演技を続けた彼は、
よろめきながらコーチの待つベンチに向かった。
彼は涙を流しながらも「はにかんだ笑顔」を見せていた。
私は５〜６年前にテレビ番組で見た、彼と同年齢の青年のことを思い出した。
多くの報道陣に囲まれて、ゴルフがとても上手で有名になったその青年は、
インタビューの最中、ずっと堂々としたにこやかな態度で、
なんと！「これからは僕のことを、ハニカミ王子と呼んでください」と言ってのけた。
当時は早稲田実業の斎藤佑樹投手が、あの田中将大投手との投げ合いを制し、
甲子園の頂点に立った頃である。
斎藤投手は、試合中にポケットからハンカチを取り出して、
無意識に額を拭う動作が大きな話題になったので、
「ハンカチ王子」と呼ばれていたが、本人はとても嫌がっていた。
おそらく、そんな「王子」ブームもあったから、
ゴルフで有名になったその青年は「ハニカミ王子」の名称が欲しかったのだろう。
私がなぜ長い間、そのインタビューの様子を細かく覚えているかというと、
ずっと、ゴルフ青年は「はにかみ」とは正反対の性格だと思っていたので、
報道陣へ「ハニカミ王子と呼んでほしい」と言った発言に驚愕を感じたからだ。
By the way.
羽生選手は試合後に病院に直行し、顎を７針、頭を３針縫ったそうである。
私は彼が強行出場したことに、
青年期にのみ許される、限りなく無謀な「爽やかな若さ・情熱」を感じ取り、
羽生選手こそが「はにかみ王子」と呼ぶに相応しいと感じ入った次第である。
