夏目漱石邸にて 2021.02.24
手帳に貼り付けたレシートには、2020年11月28日(土)の日付がある。父の命日である。今年も来年も…おそらくずっとこの日は休塾にして墓参りと決めている。この日は朝、松本から電車で来た娘を上諏訪駅に迎えに行き、そのまま諏訪市大和の城北小学校の横にある墓地で墓参りをし、その脚で父の写真を持って明治村(愛知県犬山市)に行ってきた。かつて父と私、そして娘と三人で出かけた時のことを思いだしたからだ。良い供養になったと思う。写真は夏目漱石邸で、猫の前でポーズをとっている私を娘が写したものだ。これは漱石が東京で実際に暮らしていた家を移築したものである。中にも入れるから明治の家の構造もわかるし、何よりもその畳や土間の香りで明治にタイムスリップした気にもなれる。父とはもっと一緒に出かけておけば良かったのに、そんな後悔がある。もっと昔のことを教えてほしかった、聞けなくなってからそんな事を思う自分の愚かさが後悔を連れてくる。教科書や参考書に載っていることを覚えて答案用紙に書くようなことは実は勉強ではないのだろう。もっともっと父から勉強しておけばよかった、そう思える内容こそが勉強だったのに、もう取り返しがつかない。結局、寒さに震えながら明治村閉館時間まで居ることになった私たちは、夜の西郷従道邸も見て帰って来た。明治村は広大な敷地の屋外展示博物館であるから三密とは無縁である。初代の帝国ホテルの玄関も移築されている。