2014年度 高校入試総括 2015.03.22
努力は人を裏切らない。
スポーツや芸術とは異なり、
少なくとも「勉強」については正しかった。
そう。間違いなかったのだが。
そう。断じて間違いないのだが…。
今年の入試。
努力した生徒全員が、
私の思うところの点数をクリアできたと思うし、
ほぼ全員が第一志望の高校に合格できた。
でも、パーフェクトに「全員」ではない。
さて。
他の県のことは知らないが、
長野県においては、
吹奏楽部員なら、本格的に勉強を開始できるのは10月からだし、
運動部で県大会以上に出場する生徒などは11月になって
ようやく受験勉強ができるようになる。
そして進路を決める三者懇談会は12月にある。
その時点での点数を資料として進路指導が行われる。
1月になって、担任が掲げた点数を取れなければ、
担任の厳しいセリフが生徒に浴びせられる。
この地域で人気のY高校を志望した場合は尚更である。
今年は塾生の5人がY高校を志望していた。
その内の2人(EさんとHさん)を例にあげてみたい。
EさんとHさんは共に9月下旬に部活を終えて、
10月からやっと受験勉強を始めた。
10月の段階では、Eさんの成績はHさんをかなり上回っていた。
だから私は、EさんはY高校に入れるだろうと考えていたし、
HさんはY高校は苦しいだろうと思っていた。
二人とも理解力はイマイチだが、努力家である。
実によくコツコツ勉強をする生徒だ。似たタイプである。
1月、2月の試験でも、Eさんの成績の方が良かった。
しかし、それぞれの担任の接し方は対照的だった。
Eさんの担任は、
「あなたはY高校を落ちるから志望校を変更しなさい」と言い、
Hさんの担任は、
「Y高校を受けるなら死にものぐるいで勉強しなさい」と言った。
志願書を提出する間近になっても、それぞれの担任はこう言った。
一方は「絶対落ちるから志望校を変更しなきゃダメだ、100%無理だよ」といい、
一方は「頑張れば入れるかもしれない、がんばれ、がんばれ」と励ました。
冷静に私の目からみて、Eさんの方が学力は上だと感じていたが、
担任の圧力で、2月下旬にEさんは志望校を変更し、
担任の励ましの中、HさんはそのままY高校を受験して合格した。
点数開示請求により示された高校入試本番の点数だが、
EさんもHさんも、
Y高校の合格ラインよりも遙かに上の点数であった。
例えば担任の先生から「あなたは落ちると思う」とか、
「100%合格できないから志望校をかえろ」とか、
そんな言葉を毎日繰り返し聞かされていたら、
わずか15歳の中学生が落ち着いて勉強できるだろうか。
本来もっている力を発揮できないはずだ。
でも、そんな最悪の条件の中でも、
担任にひどいことを言われ続けたEさんは、
実はしっかりとY高校の合格ラインをクリアしていたのだ。
高校入試に、このような不公平を無くすには何をすればいいのか?
それは、
入試の結果が出てから志望校を決めさせることだ。
それなら本人も親も納得できるじゃないか!
そして
全体の志願者と定員が同じなら、中学浪人も出ないじゃないか。
三者懇談でバタバタすることもなく、
誰にも文句を言われることもなく、
正々堂々と志望校に入学できる。
入試の点数をもとに、進路指導するだけで、
担任も、受験生も、納得のできる選択ができる。
この程度の入試改革をなぜ考えないのだ。
私には不思議で仕方ない。
PS.です! 3月23日
Eさんの担任の頭の中には、Y高校の人数調整をすることしかなくて、
「がんばってみなさい」という心情・励ます心は最初から無かったのです。
Eさんのような大人しくて目立たない子を人数調整にしやすいと標的にして、
「次のテストで◎◎点を目標にしてみて、駄目なら…」というような
やる気を出させる考え方や心はまったくなくて、
「私はあなたは落ちると思う。100パーセント無理だよ」
と言い続けた。
そんな最悪の環境の中で、Y高校よりも1ランク落とし、
それでもEさんはベストを尽くそうとしていた。
そしてY高校に堂々と入学できる点数を入試本番でとった。
私はその担任に言いたい!
「あなたの目は節穴だ! 100パーセント確実に節穴だ!」と。